東洋言語BLOG
2012年度作文コンテスト 最優秀賞作品②
午前クラスの中でダントツで票を集めた作品です。テーマに対して非常に独創性があり、この学生ならではの作品でした。日本語の正確性はもちろんですが、日本語のレベルを超えたアイディアの部分で最も評価された作文です。
2012年度作文コンテスト 最優秀賞作品
世界の共通のルールのように、「嘘をついてはいけない」という暗黙の約束がある。大きな嘘(他人の財産を騙し取るなど)なら犯罪にもなりうるし、小さな嘘だけをつく人はたとえ法に触れなくても人から嫌われ、遠ざけられてしまう。「嘘をつかない。」それは一種の道徳の基準になっている。どうして世界の国々は交流もせずに同じルールを作ることができたのか。私は、嘘をつかないことは人類という種が生存、繁栄し続けるための必要条件であるからと考える。
そもそもなぜ、人間は嘘をつくのだろうか。動物の例を見よう。私たちは他の動物の言葉は理解できないが、その行動からも「騙す」という行為は見かけられる。鶏を捕らえようとするため身を隠す狐、虎の目を惑わして逃げる鹿、それらは全部、食う、あるいは食われないため、つまり生き残るためについた嘘である。おそらく人間の嘘もそれと同じように他の動物との生存競争が発端となったのであろう。しかし、人間の嘘には、他の種ではあまり見られない特徴がある。同胞に嘘をつくことである。それは、人類が進化しすぎてしまったからだと思う。他の種を超越しすぎた知恵のおかげで、天敵によって種が絶滅するという危機が、人類にはなくなった。その時から人間の最大の敵は、人間自身になってしまった。食物を、領地を、伴侶を、人間同士があらゆる資源を奪いあうために、もちろん暴力だけに限らず、知恵も使い尽くした。つまり、同胞たちに嘘をついてきたのだ。しかし、やがて人々も、そのような戦いは自滅への道でしかないことに気づいたのだろう。争いからは何も生まれない。信じあい、助け合いながらこそ、人類はよりよい繁栄を得られる。だから、人間社会に嘘をつかないというルールが作られた。それは、生存繁栄という生物の本能と高度な知恵、この2つの人類の特徴から生まれた必然の結果だと私は考える。
大学1クラス 蘇 雪睿